その日
6:00
起床し、連絡が来ているか携帯を見たが何もなく、
陣痛と戦っているのだろうと妻へと思いを募らせた。
8:00
再度起床し、携帯には妻から出産の報告が入っていた。
51cm、3070gの元気な女の子だった。
役所に提出するため、出生届を受け取りに行き、あわよくば子供を見ようと病院へ赴く。
しかし、妻の在留カードと私の苗字に差がある為、受け取ることができなかった。
病院と役所とで確認をし合ってもらう話になり病院を後にする。
産まれたと言われても実際に抱いたわけではないので何とも実感の湧かない出産であった。
19:00
妻から「子供がミルクを飲んでくれない」と連絡が入る。
通常は10ml程のミルクを飲むそうだが、子供は5mlしか飲まなかった。
病院は緊急があった時の為、NICUに入院することになった。
私は呼ばれた為、その連絡後病院へ向かった。
NICUで精密検査の結果、現状子供には何の問題も見受けられなかったそうだ。
私達はその話を聞いて一旦安堵した。
とは言え、何かあっては困るのでNICUでしばらく様子を見るとの判断だった。
このご時世で、実は入院中は母親以外は新生児に合うことができない。
しかし、NICUに入っている場合、父親は面会が可能になっている。
新生児室には私たち以外にも新生児がいたことは知っている。
運がいいのか悪いのか不明だが、子供に生まれた日に合うことができて私は少し嬉しかった。
私達は、NICUの前に立つ。
両手をしっかりと洗浄し、マスクとエプロンを身に着け部屋に入る。
NICUの中は薄暗く、中には何人かの赤子とスタッフがいた。
いくつかの機械が定期的に音を立てている。
スタッフに導かれ、私達は子供の前につくと子供はケージの中に横たわっていた。
子供は時折口をわずかに動かしながら眠っていた。
私達は子供に呼びかけ、体に触れると暖かく、命を感じた。
こんなに小さくとも生きているのか。私達もかつてはこのサイズだったのか。
そう思うと生命のすごさを感じた。
朝まで妻のお腹の中にいたことを思うと不思議な気持ちになった。
そして私達は子供に触れ、お互いを見て少し笑いあった。