私と妻は、二人で過ごすことができる最後の週末を迎えた。
「二人で過ごす最後だから」と言って何か特別なことをするわけでもなく、
妻の言葉を発端に、昼前から二人で出かけた。
特別な場所に行くわけではなく、近くの大型スーパーに行き、
ドーナツとコーヒーを買い、
いつも決まって私は「ああ、アイスコーヒーの氷は少なめにしてもらえばよかった……」と話していた。
スーパーに隣接した諸ピングモールを歩き、
妻のノート(子育て日記用?)、子供の足型を残すために色紙を買った。
その日の夜は妻と過ごす最後の夜になる。
明日になったら妻は出産のために入院し、最長10日間の入院生活になる。
妻が里帰りで帰国する時も、その時も、私たちは少しの寂しさを胸に狭い布団の中で確かめ合うように触れ合いながら眠った。
私も妻もお腹を撫でていた。
きっと妻は体験したことのない恐怖と、不安を抱いていたのだと思う。
妻の体がとても小さく感じた。
あの時の妻の顔は恐怖、不安、機体、喜び……いろいろなモノが混ざり合っていた顔をしていた。
そして私達は眠りについた。